Columnsコラム = 建築の物語と実務
土地探し・資金計画・設計・施工・家具まで。建築をかたちにする実務を、 静かなことばで残していきます。
設計の考え方 — 2026.09.26屋根が背負うもの——太陽光義務化から1年半、意匠と発電効率を両立させる設計判断
東京都の太陽光義務化は、施主ではなく事業者に課される制度です。義務量も供給棟数全体で決まるため、1棟ごとの屋根には意匠と調整する余地があります。鍵は、方位・勾配・軒の出・素材を配置計画の段階で決めること。制度の現在地と売電条件を一次資料で確かめながら、美しさと発電を両立させる設計判断と、着工前に確認したい項目を整理します。
設計の考え方 — 2026.09.23模型と手描きを、まだ手放さない理由——生成AIパース時代の建築プレゼンテーション
生成AIパースは検討の速度を確実に変えました。それでも設計事務所が模型と手描きスケッチを手放さないのは、それらが「伝える道具」である前に「考える道具」であり、施主との対話を引き出す装置だからです。三つの表現の役割分担と、実務での使い分けを整理します。
設計の考え方 — 2026.09.16アーチと曲線という設計言語——直線の間取りに、もう一段の温もりを
曲線は「飾り」ではなく、光と視線と身体の動きを整える設計言語です。結論から言えば、住宅に曲線を取り入れるなら、間取り全体を変えるより「一箇所に効かせる」ほうが費用も構造も無理がありません。この記事では、アーチ開口の構造的な成り立ち、木造での造作方法と費用感、仕上げ材による表情の違い、そして設計事務所との相談で確認すべき点を整理します。
設計の考え方 — 2026.09.14記録的猛暑を、住まいはどう凌いだか——竣工後の夏から読み解く、軒と通風という設計判断
2026年夏、酷暑日地点数は過去最多を記録しました。結論から言えば、猛暑への備えは冷房機器の性能だけでは足りません。軒・庇による日射遮蔽と風の道の設計、そして断熱と植栽の組み合わせ——竣工後の夏を過ごした住まいから、国の設計ガイドを手がかりに、いま選ぶべき設計判断を読み解きます。
設計の考え方 — 2026.09.01薪ストーブのある暮らし——秋から灯す炎が教える、素材と間取りの設計判断
薪ストーブは意匠の選択ではなく、間取り・煙突経路・床構造・内装材までを連動させる設計判断です。本稿では煙突と可燃材料の離隔15cm以上といった法令要件、蓄熱を活かす素材選び、100万〜160万円が目安とされる費用構成、そして竣工後の1シーズンの暮らし方までを、一次資料と設計の現場感の両面から整理します。
設計の考え方 — 2026.08.25地域を動かすのは、地縁ではなく、その土地への思い。
旧・渋谷区立富山臨海学園の再生プロジェクトから考える、地方創生と当事者意識 千葉県南房総市、岩井海岸。 都心から車で約80分。防風林を抜けた先に穏やかな海が広がるこの地域には、かつて民宿や保養所、自治体の臨海学園が数多く集まっていました。 その一角にあったのが、昭和53年に建築された渋谷区立富山臨海学園です。 敷地面積は7,780.33㎡。事務所棟、食堂、寄宿舎を備えた施設は、長年にわたり渋谷区の子どもたちが海辺で学び、過ごす場所として利用されてきました。 使われなくなったこの施設を再生し、渋谷と南房総をつなぐ新たな交流拠点をつくる。 その構想から始まったのが、「SHIP/SHIBUYA IWAI PARK」プロジェクトでした。
設計の考え方 — 2026.08.21「軒を消さない」という設計判断——2030年度のZEH水準を見据え、夏の日射を抑える理由
深い軒は装飾ではなく、夏の室内温度を左右する日射遮蔽の要です。結論として、南面の窓には軒・庇を組み合わせるパッシブデザインが、2025年の省エネ基準適合義務化、そして2030年のZEH水準への移行を見据えた合理的な設計判断になります。この記事では、軒が効く仕組みと効かない方位、断熱等級との関係、そして図面からは見えない体感までを、国土交通省の一次資料を手がかりに整理します。
設計の考え方 — 2026.07.05経年変化を楽しむ素材選び——無垢の床が育てる、住まいの時間
新築時の完璧さは、家の頂点ではありません。無垢材をはじめとする経年変化する素材は、暮らしとともに色と質感を深め、住まいの時間を刻んでいきます。この記事では、無垢の床が育つメカニズム、設計現場で選ばれる素材の考え方、そして10年後20年後を見据えた素材選定のチェックリストまでを、公的資料と設計の実感の両面からお伝えします。