ビル・店舗の内装|居抜き内装を引き継ぐ前に、造作・設備・原状回復の線引き

居抜き内装を引き継ぐ前に——造作・設備・原状回復の線引きを、設計者の目で見立てる

居抜き内装は、初期費用と工期を抑えやすい選択です。ただし、確認せずに契約すると後から費用が膨らみやすい点が四つあります。造作の所有権、設備容量、消防・保健所の手続き、原状回復の範囲です。本記事では、設計者が現地で何を見て、貸主・前テナントに何を確かめるのかを、公的資料を根拠に順を追って整理します。

  • ◆居抜きの造作譲渡で譲れるのは前テナントの所有物だけです。貸主所有・リース品を分け、A/B/C工事区分と照らして線を引きます。
  • ◆電気・ガス・給水給湯・排水・排気の5項目を図面と現地で照合します。ビル全体の容量上限や増設条件は、契約前に貸主へ確認します。
  • ◆工事がなくても、消防署への使用開始届(7日前まで)は必要です。工事を伴えば工事等計画届出も要ります。飲食店の営業許可は新規申請が前提です。
  • ◆国交省の原状回復ガイドラインは居住用が前提で、事業用では特約が優先されます。スケルトン戻しか現状渡しか、免除範囲を書面で確定します。
  • ◆設計者への相談は申込みから契約前が最も効果的です。内装監理が、既存と新設の取り合いと行政手続きをつなぎます。

夕方、営業を終えたばかりの店には、まだ揚げ油の匂いが残っています。カウンターも厨房機器も看板灯も、そのままです。「このまま使ってもらえたら」と前の店主が言い、仲介担当者は「居抜きなので内装費はかなり抑えられますよ」と添えます。手帳に予算を書き込みながら、ふと天井のダクトに目が止まります。この設備は誰のもので、あと何年もつのでしょうか。

居抜き内装は、うまく引き継げば開業費と工期を圧縮できる場合があります。ただし、それは契約前に「見立て」をしておくことが前提です。この記事では、確認すべき線引きを四つに分けて整理します。造作譲渡の範囲、電気・給排水・排気の容量、消防・用途・保健所の手続き、原状回復の範囲です。設計者が現地で確認する順番に沿って進め、最後に貸主・前テナントへそのまま使える質問リストを置きました。

飲食店の閉店・倒産の動向と、契約前に居抜き内装を見立てる意味

周辺情報として、飲食店の倒産動向に触れておきます。帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2026年上半期)」によると、2026年1〜6月の飲食店倒産(負債1000万円以上・法的整理)は473件でした。前年同期の458件を上回り、上半期として過去最多、4年連続の増加です。負債5000万円未満の小規模倒産が369件で、全体の78.0%を占めています。

ただし、この統計の対象は法的整理のみです。自主的な閉店や休廃業は含まれず、居抜き物件の供給量や承継件数を示す数字でもありません。

飲食店の倒産件数を2025年上半期458件と2026年上半期473件で比較した棒グラフ
飲食店倒産件数の上半期比較(出典: 帝国データバンク「『飲食店』の倒産動向(2026年上半期)」2026年7月22日)

居抜きを引き継ぐのは、完成した空間を買うことではありません。前の事業者が下した判断を、そのまま受け取ることです。どこに厨房を置き、どれだけの電気を引き、どの範囲を誰の費用でつくったか。容量・手続き・契約の条件は見た目からは分からず、確認が漏れると追加費用や工期の延びにつながることがあります。

設計の現場で契約前の見立てを重視するのは、そのためです。具体的には、契約書に判を押す前に次の三点を確かめます。

  • 引き継ぐ造作・設備は誰のもので、まだ使えるのか
  • 新しい業態に対して、電気・給排水・排気の容量は足りるのか
  • 退去時に、どこまで戻す義務を負うのか

造作譲渡の範囲を整理する:残すもの・撤去するもの・所有権の線引き

所有者ごとに三つの「線」を引く

最初に行うのは、店内にあるものを所有者ごとに分けることです。居抜きの造作譲渡は前テナントとの売買として行われるのが典型ですが、貸主が譲渡主体になる場合もあります。前テナントの所有でないものは、前テナントとの契約だけでは引き継げず、所有者との別途の取り決めが必要になります。

所有者は設備名だけでは決まりません。工事費を負担した者と所有者が一致するとも限らないため、以下はあくまで例示です。実際の所有者は、賃貸借契約書、前テナントの取得資料、設備台帳、リース契約書などで個別に確認します。

  • 前テナントの所有物の例:内装仕上げ、カウンター、厨房機器、照明器具など。
  • 貸主の所有物の例:空調室外機、分電盤、給排水の本管など、建物に付属する設備。
  • 第三者の所有物の例:リースの厨房機器、レンタルのマット類や浄水器など。リース会社との契約承継や返却が別途必要です。

テナント内装では、A/B/C工事区分という呼び方がよく使われます。一般には、A工事は貸主負担・貸主施工、B工事は借主負担・貸主指定業者による施工、C工事は借主負担・借主施工と説明されることが多いものの、区分の内容はビルごとの工事区分表で定められます。工事区分は施工と費用負担の区分であり、所有権・維持修繕義務・退去時の撤去義務を決めるものではありません。これらは契約書等でそれぞれ別に確認してください。

残すもの・撤去するものを決める三つの基準

所有の線引きができたら、次は残すか撤去するかの判断です。設計の現場では、おおむね次の順で見ていきます。

  1. 機能:動作するか。年式と保守部品の有無、清掃やメンテナンスの状態はどうか。
  2. 適合:新しい業態の動線・席数・メニュー構成に合うか。合わない造作は、残すほど計画を縛ります。
  3. 印象:前の店の記憶をどこまで残すか。屋号が変わっても空間が同じなら、新しい店として認識されにくいことがあります。

三つ目の「印象」は、デザインと集客が交わる部分です。通りから見えるファサードや入口まわり、照明の色温度など、来店前の印象を決める部分には手を入れます。一方で、厨房やバックヤードの使える設備は活かします。こうした濃淡のつけ方が、居抜きの予算を効かせる設計の考え方です。既存の素材を長く使う価値については、素材と寿命の選び方からライフサイクルカーボンを考えるコラムでも触れています。

居抜き内装の電気・給排水・排気の容量チェック:図面と現地で確認する5項目

容量の確認は、図面と現地の照合から始まります。見るのは、ビルの竣工図、前テナントの内装図・設備図、そして実際の分電盤やメーター、天井裏です。図面と現況が食い違っていることは珍しくないため、両方を見ることが前提になります。設計者が契約前に確認する項目を、5つに絞って整理します。

  1. 電気容量:テナントの契約容量、分電盤の回路数と空き、ビル側の幹線に増設の余地があるか。厨房のIH化や空調の増設を考えているなら、最も重要な項目です。
  2. ガス:都市ガスかLPガスか、メーターの能力と配管径。厨房機器の入れ替えで必要量が変わる場合は、ガス事業者や貸主との協議が必要になります。
  3. 給水・給湯:給水管の口径、給湯器の能力と設置場所。洗い場や手洗いを増やす計画では、水量と湯量の両方を確かめます。
  4. 排水:排水管の位置と勾配、グリストラップの有無と容量、床の防水。厨房の位置を動かすと、床上げや配管の引き直しが必要になることがあります。
  5. 排気・給気:ダクトの経路(屋上か外壁か)、排気ファンの能力、給気とのバランス、近隣への臭気や音への配慮。業態が変われば、求められる排気量も変わります。

どの項目もテナント内だけで完結しないのが、居抜き内装の難しさです。ビル全体の容量に上限がある場合、増設の可否や工事区分は貸主・ビル管理会社との協議によって決まり、費用も工期も契約前の想定から動くことがあります。また、厨房機器の規模によっては、火災予防条例に基づく火気使用設備等の届出が必要になる場合があります(東京消防庁管内の例:牛込消防署 予防関係Q&Aでは「入力の合計が120kw以上となる場合」に届出が必要と案内)。基準は自治体の条例で定められているため、機器構成が固まった段階で管轄の消防署に確認してください。

あわせて見ておきたいのが、工事そのものの条件です。搬入経路、エレベーターの寸法、工事できる時間帯といったビル側のルールは、見積額と工期に直接効いてきます。既存仕上げの撤去や設備の入れ替えを伴う場合は、石綿(アスベスト)の事前調査も工程に入ります。厚生労働省「石綿事前調査結果報告システムについて」によると、事前調査は工事の規模によらず必要で、建築物の改修工事では請負金額が税込100万円以上の場合に結果の報告が求められます。また同システムの案内のとおり、令和5年10月1日以降に着工する建築物の解体・改修工事では、資格者(建築物石綿含有建材調査者等)による事前調査が必要です。敷地や道路の条件が工事費と工程にどう影響するかは、前面道路の条件から建築費と工期を読み解くコラムでも整理しています。

消防設備・用途・法規の適合確認:引き継いでから困らないために

消防:工事がなくても届出は必要

東京消防庁は「新たにテナントを使用する皆様へ」で、届出の義務を案内しています。東京消防庁管内では、消防法施行令別表第一に掲げる防火対象物やその部分を使う人は、使用開始日の7日前までに消防署長へ届け出なければなりません。前テナントと同じ業種でも、入居する事業者が変われば届出の主体も変わります(東京消防庁 防火対象物使用開始届出書の案内)。届出の対象や期限は所在地の火災予防条例で定められるため、東京以外では管轄の消防本部に確認してください。

さらに「防火対象物の使用開始の届出をしよう」では、東京消防庁管内の扱いとして次の点が明示されています。居抜きで前の設備をそのまま使い、レストランから居酒屋へ使用形態を変える場合でも、工事を行うなら防火対象物工事等計画届出書が必要です。この届出の提出期限も含め、所在地の条例に照らして管轄の消防署に確認します。消防用設備の要否は、用途だけでなく、面積や階、収容人員、建物全体の使われ方の組み合わせで決まるのが一般的です。レイアウトを確定する前に、管轄の消防署へ相談しておくのが確実です。

用途変更:200㎡という境界

建築基準法では、建築物の用途を変更して特殊建築物(飲食店や物販店舗など)とする部分の床面積が200㎡を超える場合、確認申請が必要です。この基準は2019年(令和元年)の法改正で、100㎡超から200㎡超へ引き上げられました。施行令第137条の18が定める類似の用途相互間の変更は例外とされています(用途変更の確認申請に関する解説資料(令和5年度 建築確認等オンラインセミナー))。類似の用途は号ごとに列挙されており、たとえば「キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー」「待合、料理店」「百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗」がそれぞれ一つのグループです(福岡市「用途変更の取り扱い(建築基準法第87条)」)。

注意したいのは、確認申請が不要でも、建築基準法や消防法への適合義務はなくならないことです。また、同じ「飲食店」と呼ばれる業態でも、営業の実態によっては建築基準法上バーや料理店など別の用途区分と判断されることがあります。看板上の業態名ではなく、建築基準法上の用途区分と営業実態で判断し、特定行政庁や指定確認検査機関に確認するのが確実です。事務所や物販店舗から飲食店へ転用する場合は、面積によって確認申請が必要になり得ます。

保健所:営業許可の「承継」と「新規取得」を分けて考える

飲食店を営むには、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。2023年(令和5年)12月13日以降は、営業者が許可に係る事業の全部を譲渡した場合、譲受人は新規申請ではなく地位承継の届出で営業者を変更できるようになりました(東京都保健医療局の事業譲渡に関する案内、厚生労働省の案内資料)。届出には譲渡契約書など譲渡の事実を確認できる書類が必要で、届出後に保健所が施設の状況を確認します。一方、事業譲渡契約を交わしていない場合は承継の対象外で、新規の許可取得が必要と案内している自治体もあります(奈良市の案内)。

造作や厨房機器だけを買い取る居抜きが「営業の譲渡」に当たるかは、契約の中身によります。承継届で対応できるか、新規許可を前提にするかは、契約前に管轄の保健所へ相談して確かめてください。新規許可の場合は、施設検査で設備が施設基準に合っているかが問われます。

制度面では、2021年(令和3年)6月1日施行の改正で、営業許可業種が32業種に再編されました。営業届出制度が創設され、許可の要件である施設基準も改正されています(東京都保健医療局「改正食品衛生法の営業許可と届出」)。数年前の基準でつくられた厨房が、そのまま現行基準を満たすとは限りません。

兵庫県の案内は、設計図の段階、つまり工事の前に保健所へ相談するよう明記しています。同県の飲食店営業の申請手数料は16,000円ですが、手数料や細かな運用は自治体ごとに異なります。物件所在地を管轄する保健所へ図面を持って事前相談するのが近道です。

なお、法規の解釈や手続きの最終判断は、所管の行政庁や専門家に確認することをおすすめします。設計者の役割は、その相談に必要な図面と論点を整えることにあります。

原状回復の範囲を契約前に確定する:スケルトン戻し・入居時状態への復旧・撤去義務の免除

原状回復の考え方として広く参照されるのが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。ここでは原状回復を「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、通常の使用を超える使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。通常損耗や経年変化の修繕費は、賃料に含まれるという整理です。

ただし、同ガイドライン(再改訂版、平成23年8月)は、民間の居住用賃貸住宅を想定したものです。平成10年に策定され、平成16年・23年に改訂されてきました。事業用の店舗・オフィスは直接の適用対象ではなく、法的拘束力もありません。事業用では、契約書の特約で原状回復の範囲を定めるのが一般的です。ただし、特約があれば無条件に有効になるわけではなく、内容や合意の経緯によって解釈や効力が問題になることもあります。だからこそ、契約時に範囲を具体的に明文化しておくことが大切です。

スケルトン戻しか、入居時状態への復旧か

事業用の賃貸借では、退去時に内装・設備をすべて撤去し、躯体の状態に戻す「スケルトン戻し」を求める契約が少なくありません。居抜きで入居した場合に問題になるのは、前テナントの造作まで撤去する義務を負うのかという点です。自分がつくったものではないため、ここが曖昧なまま退去を迎えると揉めやすくなります。

一方、退去時は入居時の状態(前テナントの造作が残った状態)に戻せばよいとする合意や、前テナント造作分の撤去義務の免除を貸主と取り付けられれば、退去時の負担は大きく変わります。なお「現状渡し」は入居時の引渡し条件を示す言葉で、それだけでは退去時の返還条件は決まりません。入居時の引渡し条件と退去時の返還条件は、別々に書面化します。口頭の了承は後日の食い違いを生みやすいため、設計者の視点からは、次の事項を書面に残すことをおすすめしています。

  • 残置する設備・造作のリスト(写真・図面と紐づけたもの)
  • 入居時点の設備の状態と、動作確認の結果
  • 原状回復義務を免除する範囲と、退去時に戻す状態の定義
  • 引き継いだ設備に不具合があった場合の責任分担
  • 合意が解除される条件(契約更新・譲渡・用途変更時など)

設計者に依頼するタイミングと、見立ての期間・費用を左右する条件

設計者への相談が最も効果を発揮するのは、申込みから賃貸借契約・造作譲渡契約を結ぶまでの間です。契約後に容量不足や法規上の制約が見つかると、契約前より調整が難しくなり、追加費用や開業延期につながる場合があります。内見の段階で同行できれば、その場で確認すべき箇所を絞り込めます。

工事監理と、調査・調整の支援

居抜きでは「既存を活かすから設計は不要」と考えられがちです。しかし実際には、既存と新設の取り合いこそが最も難しい部分です。設計者の業務のうち工事監理は、工事を設計図書と照合し、図面どおりに実施されているかを確認するものです。これとは別に、調査・設計・行政との事前相談や関係者調整といった支援があります。どこまでを依頼するかは契約で定める業務範囲によるため、依頼前にすり合わせておきます。支援業務の例は次のとおりです。

  • 工事区分表に沿った見積の精査
  • 既存設備を流用できるかの判断と、その記録
  • 届出・検査に必要な図面の整備
  • 工事中の現場確認と、引渡し時の検査

開業から逆算するスケジュール

見立ての流れを開業日から逆算すると、次のようになります。消防署への使用開始届は、東京消防庁管内では使用開始の7日前までに出します(他地域は所在地の条例を確認)。工事を伴う場合は、工事等計画届出も必要です。保健所については、新規許可の場合、工事完了後の施設検査と必要な是正を経て、営業許可が出たことを確認してから営業を始めます。承継届で対応する場合も、届出後の保健所の確認を見込んで余白をとっておきます。

見立ての期間・費用を左右する条件

見立てにかかる期間や費用は、物件の規模、図面資料がそろっているか、業態の変更があるかによって大きく変わります。そのため、ここでは一律の金額を示すことは控えます。主に次の要素が効いてきます。

  • 竣工図や前テナントの設備図が入手できるか(ない場合は実測が必要)
  • 業態変更の有無(同業態の引継ぎか、物販・事務所からの転用か)
  • 天井裏や床下など、現地で開口して確認する必要がある範囲
  • 行政への事前相談の回数と、その結果を踏まえた計画の修正

S/CAPEでは、物件の条件を伺ったうえで、最初に見立ての範囲と進め方をすり合わせています。契約の期限が迫っている場合も、まずは無料相談で状況をお聞かせください。

契約前チェックリスト:事業者が貸主・前テナントに確認すべき質問

最後に、契約前に貸主と前テナントへ確認しておきたい質問をまとめます。回答はできるだけ書面やメールで受け取り、図面や写真とあわせて保管しておきます。後の交渉や設計の根拠になるためです。

貸主・管理会社へ

  1. 工事区分表(A/B/C工事)はありますか。前テナントが増設した設備は、どの区分になっていますか。また、その所有者と退去時の撤去義務はどうなっていますか。
  2. 電気・ガス・給排水・排気について、テナントに割り当てられた容量と、増設の可否を教えてください。
  3. 退去時の原状回復はスケルトン戻しですか。前テナントの造作分の扱いを、特約として書面に残せますか。
  4. 想定している業態で入居するにあたり、ビルの規約や他テナントとの関係で制約はありますか。
  5. 工事可能な時間帯、搬入経路、指定業者の有無を教えてください。

前テナントへ

  1. 譲渡対象の造作・設備のリストと、それぞれの所有者(自社・リース・貸主)を、契約書や取得資料とあわせて教えてください。
  2. 各設備の年式とメンテナンス履歴、現在の不具合を教えてください。
  3. 内装・設備の図面や、過去に消防署・保健所へ提出した書類の控えはありますか。
  4. 排気や臭気、騒音について、近隣や他テナントから指摘を受けたことはありますか。
  5. 引渡し前の動作確認に、立ち会うことはできますか。

質問の答えがそろうと、その居抜きで本当に開業費を抑えられるのか、追加費用が生じる要因はどこにあるのかが見えてきます。その判断を、図面と数字の上で一緒に確かめていければと思います。

監修:斉藤 大輔(株式会社S・CAPE CONSULTING 代表取締役・一級建築士)

よくある質問

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、民間の居住用賃貸住宅を想定したものです。事業用の店舗・オフィスは直接の適用対象ではなく、法的拘束力もありません。事業用では契約書の特約が優先されるのが実務上の原則です。そのため、残置する造作のリスト、原状回復義務の免除範囲、不具合時の責任分担などを、契約時に書面で確定しておくことをおすすめします。個別の解釈は弁護士などの専門家にご確認ください。
不要ではありません。東京消防庁は、防火対象物やその部分を新たに使う場合、使用開始日の7日前までに消防署へ届け出るよう案内しています。前の設備をそのまま使う場合でも、工事を行うなら工事等計画届出が必要です。また、飲食店の営業許可は前テナントから引き継げません。新規の許可申請と施設検査を前提に、設計図の段階で保健所へ相談しておくと安心です。
申込みから賃貸借契約・造作譲渡契約を結ぶまでの間が最も効果的です。内見の段階で同行できれば、電気・給排水・排気の容量や、消防・用途変更・保健所の論点をその場で絞り込めます。契約後に制約が見つかると条件を交渉し直す余地がほとんど残らないため、契約書に判を押す前の相談をおすすめします。

参考資料

  1. 「飲食店」の倒産動向(2026年上半期)|帝国データバンク
  2. 「つくる時のCO₂」という新しい物差し——ライフサイクルカーボン制度の検討が進むなか、素材と寿命をどう選ぶか
  3. 「前面道路が公道6m」という条件を読む——重機の搬入・斜線制限・工事動線が、建築費と工期に及ぼすもの
  4. 新たにテナントを使用する皆様へ - 東京消防庁
  5. 防火対象物の使用開始の届出をしよう - 東京消防庁
  6. 令和5年度 建築確認等オンラインセミナー「用途変更の確認申請について」
  7. 改正食品衛生法の営業許可と届出(令和3年6月1日から施行)|東京都保健医療局
  8. 食品衛生法に基づく営業許可申請・営業届出|兵庫県
  9. 住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について - 国土交通省
  10. 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)平成23年8月 国土交通省住宅局
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